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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

SISU/シス 不死身の男

昨年のインド映画『RRR』を観終わったとき、その奇想天外、その支離滅裂、そのハチャメチャさに、「ウーン~スゴすぎ!」とめまいを覚えた。本作『SISU/シス 不死身の男』もまったくそれと同じで、更にこんな凄い映画を見せてくれたスタッフ・キャストの皆さんありがとう、という感謝とリスペクトを込めて拍手したくなった。それがフィンランド映画『SISU/シス 不死身の男』という映画だ。 お話は単純にして明快。時は第二次世界大戦末期、所はナチスの侵攻で焦土と化したフィンランド。せっかく掘り当てた金塊をナチスに奪われて怒り心頭の老兵コルピは、愛犬と共にドイツ軍に単身捨て身で戦いに挑んでいく、というもの。 なにがスゴいのかといえば、ドイツ軍の戦車、戦闘機を相手に、ツルハシ一本で立ち向かっていく老兵コルピの雄姿、タフネスさだ。地上戦、水中戦、空中戦…どんなに不利な状況だろうと不屈の闘志と知恵をフル活用して、ナチスを撃破、殲滅していく。「そんなこと、アリエルの!?」だが、観る者はその痛快さ、彼の不死身ぶりに拍手喝采せずにはいられなくなる。 「SISU」とは、翻訳不可能とされるフィンランドの言葉で、「想像を絶する意志の強さ、折れない心」を意味するらしい。その「SISU」を体現したコルピ役のヨルマ・トンミラのタフネス演技が素晴らしい。監督は『レア・エクスポーツ-囚われのサンタクロース-』『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』のヤルマリ・ヘランダー。 1976年、フィンランド生まれで、テレビ、映画、CMで大活躍している、とのこと。アキ・カウリスマキ監督作品以外のフィンランド映画に、こんな凄い戦争映画があったのかとビックリである。

23/10/1(日)

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