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内外問わず話題作・娯楽作を本音で紹介
笠井 信輔
フリーアナウンサー
正欲
23/11/10(金)
TOHOシネマズ 日比谷
目頭が熱くなった。今の時代を見事に掬い取って描くのは、世の中から取り残された人々の姿。不登校、フェチ、男性恐怖症、同性愛…。人と違う生き方が否定され苦悩する“個性的”な人たち。「普通って何?」という問いかけが胸に刺さる。 不登校の息子を普通の子にしようとする父=稲垣吾郎の普通の男を演じるうまさ。人に明かせない秘密の指向をもつ販売員役の新垣結衣は、彼女の素の姿に近いのではと思うほど真に迫り、そして、この作品でも磯村勇斗がノリにノッている。提示される困難の先の希望。「自分を閉ざさないで」という劇中メッセージ。ネットで、リアルで、つながることこそが救いというヒント。 孤独を感じたことがあるすべての人のための映画がここにあった。
23/10/2(月)