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Tak

美術ブロガー

永遠の都ローマ展

ヨーロッパ文化の調査・研究を目的に、1873年に日本の明治政府が派遣した「岩倉使節団」。岩倉使節団が欧州で見聞したモノの多くは、現在の日本の美術館・博物館の礎となっています。今年(2023年)はそれから150年目の節目の年に当たります。それを記念し東京都美術館で開催されているのが『永遠の都ローマ展』です。岩倉使節団が訪ねたカピトリーノ美術館から名品が来日しています。単にイタリアから名品を持ってきただけでなく、日本との深い関係性も明らかにしている「特集展示 カピトリーノ美術館と日本」が展示の最後に置かれている点もこの展覧会を味わい深いものとしています。 1473年にコレクションの基礎が築かれたカピトリーノ美術館は、世界的に最も古い美術館のひとつに数えられています。「美術館」の歴史を振り返ってみると、王侯貴族が蒐集したコレクションを収め陳列する場であり限られた人だけしか作品を観ることが出来ない時代が長く続きました。教皇のコレクションを中心としたカピトリーノ美術館の最も特筆すべき点として、1734年に広く一般に公開が始まったことがあげられます。世界で最も古い美術館でありながら、世界中の美術館に先駆けて所蔵品を一般の人に公開した「近代的ミュージアム」の祖とも言えるのがカピトリーノ美術館なのです。『永遠の都ローマ展』では、カピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、ローマの古代から近代までの歴史と芸術を彫刻、絵画などを通して丁寧に紹介されています。 当初は2021年に開催予定だった展覧会ですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となってしまいました。しかし中止となった後も、日本側監修者である立教大学教授の加藤磨珠枝教授とローマ側監修者で開催に向け準備は進められ、足かけ6年の準備期間を要しこの度晴れてリベンジ開催となりました。日本とイタリアが展覧会開催に向け如何にその間尽力し、良好な関係を築いてきたことが最もよく分かるのが、まさにイタリアの至宝中の至宝である《カピトリーノのヴィーナス》が奇跡の初来日を果たしていることです。古代ギリシア最大の彫刻家プラクシテレスの作品に基づく美しい女神像《カピトリーノのヴィーナス》は、《ミロのヴィーナス》(ルーヴル美術館)、《メディチのヴィーナス》(ウフィッツィ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られています。《カピトリーノのヴィーナス》が美術館を離れたのはこれまで僅か2回しかなく、まさに門外不出の至宝。そんなお宝作品が東京展限定でやって来ているのですから観に行かねば罰が当たります。 1700年以上も昔に作られた大理石像や13世紀のモザイク絵画、そしてルネサンス期の見応えのある油彩画など、美術マニアから初心者、子どもまで楽しめワクワク感がとまらない素晴らしい展示空間が上野に現出しています。コロナ禍を経た今なお簡単に海外に行けない今、わざわざ遠路はるばるイタリアから、これだけの作品がやってきているのですから興奮せずにはいられません。そしてローマへ実際に行きたくなるそんな危険な展覧会でもあります。

23/10/8(日)

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