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村山 章

映画ライター

《世界の映画作家Vol.238 ハル・ハートリー ロングアイランド・トリロジー+『月曜日から来た女』》

【新文芸坐オールナイト上映】 世界の映画作家Vol.238 ハル・ハートリー ロングアイランド・トリロジー+『月曜日から来た女』 新文芸坐 にて10月28日(土)22時20分スタート 映画ライターとして普段は古今の映画について書いたり取材をしたりしているが、ハル・ハートリーとは距離感がちょっと違っている。ハートリーといえばタランティーノが「40回観た!」と豪語したという『トラスト・ミー』などの傑作で1990年代のNYインディーズシーンを代表する存在となり、当時20代の映画ファンだった自分も夢中になった。 2000年以降は、インディペンデント映画がビッグビジネスの波に呑み込まれていく中で、その狂騒から距離をおいたのかはじき出されたのか、長らく近況が聞こえてこなくなった。実際にはひたすらインディペンデントのスタンスを貫き、自分が撮りたい映画を、観たいと思ってくれる観客に届ける活動を続けていたのだが。 そんなハートリーが活路を見出したのがクラウドファンディングで、現在もほぼ10年ぶりとなる新作『ホウェア・トゥ・ランド』を復活させるための資金を募っている(11月4日午前1時〆切)。本来なら2019年に一度クラファンが成功していて、2000年には完成しているはずだったのに、コロナ禍の直撃で製作中止となってしまったのだ。 と、そんな話はハートリーを知らない人にとってはどうでもいいかも知れない。だからこそ、どれだけ先進的で、それでいて青臭くて、シュールでユーモラスで最後にはグッと心をわしづかみにする唯一無二の作風を知ってほしい。ということで、10月28日に新文芸坐で行われるハル・ハートリーのオールナイト4本立てを猛プッシュしたい。 ここ数年は縁あってハートリーのクラファンの広報を手伝っているので、ことハートリーに関しては、自分はフラットに外部から語れる立場ではなくなってしまっている。しかしかつてハートリーが描く世界に夢中になったわれわれみたいに、これから瑞々しい出会いが待ち受けている人たちが大勢いるに違いないと思っている。 オールナイトで上映されるのは、故エイドリアン・シェリーの魅力が炸裂する初期傑作『アンビリーバブル・トゥルース』と『トラスト・ミー』、伝説のダンスシーンが飛び出す『シンプルメン』、そして2000年代にデジタルビデオで撮った実験的SF『月曜日から来た女』で、『月曜日~』は日本の映画館で上映されるのは今回が初。オールドファンほど徹夜興行には二の足を踏むでしょうが、ハートリー体験者も未体験者も、スクリーンでハートリーの映像を、音を、セリフ回しを、不器用で愛らしい登場人物を、ともに共有するチャンスに飛び込んでほしいと願っています。(ちなみに大阪の扇町シネマでも、10月26日に『トラスト・ミー』の上映がありますよ!)

23/10/24(火)

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