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平辻 哲也

映画ジャーナリスト

ゴジラ-1.0

ゴジラ70周年の記念作にして、日本で製作された30作目の実写映画でもある。メモリアル作品を託された製作陣は、頭を悩ませたに違いない。ゴジラの物語はあらゆるパターンで語られてきたからだ。 そこで、ものすごい飛び道具を使った。時代の巻き戻しだ。1954年、水爆実験で覚せいされたゴジラを終戦直後に登場させる。多くの戦死者を出し、国中が焦土と化した日本。そこに追い打ちをかけるようにゴジラが現れたら、どうなるか。 この発想が面白い。絶望に、さらなる絶望をかけても、希望はあるのか。監督はゴジラファンを公言してきた山崎貴。これまで『永遠の0』『アルキメデスの大戦』など戦記ものを手掛けている。このアイデアを見つけた時から勝算はあったのだろう。 詳しい内容は観る方のために取っておくが、ハリウッド版を含め最近のゴジラ映画では抜群に面白かった。朝ドラファンには『らんまん』で夫婦役を演じた神木隆之介と浜辺美波のコンビ復活もうれしいだろう。ラストは涙。男性だけではなく、女性もグッとくる作品になっている。

23/11/3(金)

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