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水先案内人のおすすめ

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ジャンル横断、センスのいいセレクト

立川 直樹

プロデューサー、ディレクター

蟻の王

カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した1992年の『小さな旅人』では施設に送られる幼い姉弟と憲兵の旅、2004年の『家の鍵』では、若き父親と障がいを持つ息子の物語と、常に他者と理解し合うことの難しさ、大切さを描き続けてきたイタリアの名匠ジャンニ・アメリオが最新作の題材に選んだのは、差別と偏見に立ち向かい愛を貫き通そうとする人々の物語。詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもある実在の人物アルド・ブライバンティが教え子の若者エットレと恋に落ちるところから始まる展開はきちんとした脚本と、品格のある演出、俳優たちの名演技によって素晴らしい作品に仕上がっている。78歳になる監督の「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」というコメントが映画に力強さを与えている。「スリープウォーク」など、既成曲の使い方のうまさにも唸らされた。

23/11/8(水)

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