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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
ロスト・フライト
23/11/23(木)
TOHOシネマズ 日比谷
世界を守る無敵のヒーローといえばトム・クルーズ以外にも映画界に存在する。それはスコットランドが生んだ俳優ジェラルド・バトラーだ。『300〈スリーハンドレッド〉』でスパルタ王として闘い、『エンド・オブ・ホワイトハウス』シリーズではシークレットサービスとして大統領を守り、『ジオストーム』『グリーンランドー地球最後の2日間ー』では地球の危機を救おうと奮闘する。 そんな居るだけで絶対的な信頼感を寄せてしまいそうなジェラルド・バトラーが『ハンターキラー 潜航せよ』では海底で地球を救うべく奮闘した潜水艦の船長だったが、今作では旅客機の機長に。となれば間違いなく事件が発生するはず。しかもヒーローなのでミスはせず、本部の責任からのトラブルであり、案の定、物語は上空から飛行機墜落、そして連絡の取れない島へと舞台は移る。更には恐ろしい反政府ゲリラが巣食う島で、乗客を守る為に肉弾戦を繰り広げるのだ。 スーツも似合うが、やはりワイルドな姿が似合うジェラルド・バトラーが自分の魅せ方を知っているかのごとく、銃を持ち悪党を叩きのめす本作。面白いのは、パイロットが何故、そんなに強く勇敢なのかと首を傾げたタイミングで理由がエピソードとして明かされる。そんな観客目線も大事にしつつ、観客が中弛みしないよう次の展開として、新たな登場人物を投入するところも心憎い。 しかも元ネイビーシールズ経験のある俳優を起用するこだわりは、本物の戦闘シーンを見せたいという思いからであり、手持ちカメラで展開される一連の救出劇には手に汗握るほどだ。本作ではジェラルド・バトラーはプロデュースも務めているが、刺激強めの本物のアクションを楽しんでもらいたいという思いからだろう。
23/11/12(日)