著書『黙殺』で開高健ノンフィクション賞を受賞したフリーライターの畠山理仁。彼の使命は国政から地方選まで候補者全員を取材することで選挙の面白さを伝えること。そんな畠山が2022年7月の参議院選挙の東京選挙区の候補者34名を取材する姿を中心に追ったドキュメンタリーだ。お馴染みの政党から「スマイル党」「バレエ大好き党」など数多くの少数政党まで、選挙管理委員会への申請から選挙活動、また当落の開票まで、時間を惜しんで候補者たちを追う畠山の情熱には圧倒される。時間と金をいわば浪費する畠山への妻や息子たちのインタビューを含めて、畠山という人物の生きざまを浮き彫りにすると同時に、選挙活動の細部と裏側を見ることで、日本の選挙の実相を改めて考えさせられて面白い。