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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
ナポレオン
23/12/1(金)
TOHOシネマズ 日比谷
冒頭のマリー・アントワネットのギロチン台のシーンが、すでにリドリー・スコットらしい。我々は処刑台の仕組みと美女の生首という、リドリーの残酷な映画を観て育ってきたのだ。ナポレオンという稀代の戦略家で、戦場での大胆さと冷静さで周囲を引っ張っていく男。淡々とした様子で思考を巡らし、口を開くと思いがけない策略が飛び出す。しかし美しく妖しい寡婦のジョゼフィーヌに篭絡され、稚拙な女の扱いから、恋愛関係はナポレオンが彼女を追う形で始まる。兄弟やジョゼフィーヌに出す手紙と、戦場での軍人ナポレオンの差。ジョゼフィーヌと複雑な愛憎関係を展開していきながら、戴冠式ではみずから冠を手にしてかぶる、複雑なナポレオンを演じるホアキンの演技が素晴らしい。
23/11/21(火)