水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

取材経験豊富な記者の目でセレクト

平辻 哲也

映画ジャーナリスト

ほかげ

時代設定を巻き戻した『ゴジラ-1.0』が3週連続第1位のヒットとなっている。塚本晋也監督による最新作は同じ戦後を舞台にした市井の人々の物語。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインを務めている旬な俳優・趣里が主演した。  焼け残った居酒屋で体を売って生きる女と、そこに居座る戦災孤児を中心にした物語。「ほかげ」を漢字で書けば、「火影」。火の光の意味だ。全てを失った暗闇のような世界に、希望の光はあるのか。題材は違うが、テーマ自体は『ゴジラ-1.0』にも通じるものがある。 趣里は多彩な表情を見せ、絶望の中でも生きようとする女を好演。戦争孤児を演じたのは朝ドラ『エール』や『青天を衝け』でも活躍する8歳の塚尾桜雅。大人たちを見つめる目は常に何かを問いかけているようだ。『ゴジラ-1.0』を観て、戦後に関心を持った人にぜひ。

23/11/25(土)

アプリで読む