『あの頃、君を追いかけた』で台湾のヒットメーカー入りを果たしたギデンズ・コー監督。その売れっ子監督が本作で描くのは、台湾で一番身近な神様と言われる「月老（ユエラオ）」と、輪廻転生をモチーフにした摩訶不思議な死後の世界です。さらに、監督がこだわる一途なラブストーリーを重ね合わせ、類まれな「純愛冥界ファンタジー」が誕生しました。   この物語はあまりにも登場者が多いので一見、複雑に見えますが、原作、脚本も兼ね全体像から細部に至るまで掌握している監督の世界に身を委ねることをお勧めします。   落雷で命を落とし記憶もなくし、訳も分からないまま冥界に連れてこられたシャオルン（クー・チェンドン）は、同じく冥界にやってきたピンキー（ワン・ジン）とともに、ユエラオとして現世に戻り人々の縁結びをすることになりました。すると、ふたりの前に1 頭の犬が現れ、シャオルンは失っていた生前の記憶を取り戻します。それは最愛の恋人 シャオミー（ビビアン・ソン）との間で果たせないまま終わってしまった“ある約束”でした。   もちろん、この時点では何が何だか分かりません。観客の1人としてはまずは若手の人気スターが勢ぞろいした豪華キャストの演技を楽しみつつ、作品から監督のメッセージを探ってみてはいかがでしょうか。犬やセミなど作品の中に出て来る多くの生き物にヒントがありそうです。

23/12/25(月)