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クラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

東京都交響楽団 第992回定期演奏会Bシリーズ

「ジョン・アダムズが都響を指揮、自作自演」 前回に続いてまたもや東京都交響楽団の定期公演を推薦するのは、他のオケの手前、不公平になるかもしれないが、今回もふだん聴けないような意欲的なプログラムなので、敢えて取り上げることにした。来日客演指揮するのは、あのニクソン大統領の中国訪問を描いた「中国のニクソン」、世界最初の原爆実験を描いた「ドクター・アトミック」など、リアルな出来事を題材にしたオペラで有名な現代屈指の作曲家ジョン・アダムズ(1947年生)である。彼が自作を自ら指揮するという稀有な演奏会だ。 演奏される曲は、日本初演になる「アイ・スティル・ダンス」(2019年作曲)、「アブソリュート・ジェスト」(2011年作曲)、「ハルモニーレーレ」の3曲。このうち「ハルモニーレーレ」はアダムズの代表作のひとつで、和声学という意味があり、全篇にわたって豊かな和音群が交錯する美しく壮大な曲である。現代音楽とは言っても、聴いてみると「こりゃ面白い」というのが結構多いもの。彼の作品はすこぶる親しみやすいので、ぜひ聴いてみたい。

24/1/10(水)

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