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日本美術、西洋美術をバランス重視で

木谷 節子

アートライター

キース・ヘリング展 アートをストリートへ

80年代、ニューヨークのアートシーンを駆け抜け、エイズによりわずか31才でこの世を去ったキース・ヘリング。マーカーで描いたようなぶっとい線とカラフルな色彩による彼のポップな作品約150点を、一堂に見ることができる展覧会だ。特別協力が中村キース・ヘリング美術館とあって、あの八ヶ岳のミュージアムの没入感あふれる空間が広がっているのかと思いきや、六本木の展示はオーソドックス。解説なども丁寧で、キース・ヘリング初心者の方にも安心の展覧会となっておりました。 本展の目玉は、ヘリングがニューヨークの地下鉄駅構内の広告板に描いて一躍メジャーに躍り出た「サブウェイ・ドローイング」がなんと7点も展示されていること。その中には、縁がビリビリ破れて、壁から剥がしてきたことがリアルにわかる作品もあり、「(ヘリングが)描いては、(コレクターが)剥がし」という臨場感が伝わってきた。実はヘリングは、ニューヨークにやってきた当初から、自分が、後に「エイズ」と呼ばれる病(当時は同性愛者が罹患する、死に至る謎の病、と思われていた)で亡くなると予見していたのだそう。あのポップな作風の裏に、彼の生と死に対する複雑な心境が渦巻いていたのかと考えると作品の見方は180度変わった。

23/12/28(木)

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