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日本で上映されるアジア映画はおまかせ
紀平 重成
コラムニスト(元毎日新聞記者)
フィリピンパブ嬢の社会学
24/2/17(土)
K's cinema
日本で働くフィリピンパブ嬢のことを知りたくなった当時中部地方の大学院生中島弘像さん。その彼が彼女たちの実態を研究するため偶然入ったお店に通ううちパブ嬢の1人と相思相愛の仲となって結婚したという実話が元になっています。 ある日初めて来店した中島さんの隣に座わり運命の女性となったミカさん。文化の違いや経済問題など次々と障害は押し寄せますが、その都度「大丈夫、何とかなるよ」と声を掛け合い、研究の対象だったはずの女性が恋愛の対象に変わっていきました。 大学院の指導教官の助言もあって本来の目的である修士論文も無事に提出できました。 映画は難題をふたりで解決していく純愛物語としてはもちろん、多文化共生やジェンダー、偽装結婚といった今日的な課題に興味を持つ人もいるでしょう。フィリピンパブ嬢に社会学をくっつけた意表を突くネーミングにも感心します。 映画と同名の原書(新潮新書)に続き「フィリピンパブ嬢の経済学」(同)も発売中。
24/1/6(土)