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大島 幸久
演劇ジャーナリスト
ミュージカル『オペラ座の怪人』~ケン・ヒル版~
24/1/17(水)~24/1/28(日)
東急シアターオーブ
アンドリュー・ロイド=ウェバーの名曲に酔いしれるのが劇団四季の『オペラ座の怪人』とすれば、来日公演のミュージカル『オペラ座の怪人』~ケン・ヒル版~は圧倒的な歌声の俳優陣に魅了されるだろう。 ケン・ヒルは1900年代後半に活躍した劇作家・演出家だ。原作であるガストン・ルルーのゴシック小説を作詞・作曲・脚本によって忠実に描いた。 6年ぶりの来日公演に豪華なキャストがやってくる。主人公ファントムはイギリスのミュージカル俳優ベン・フォスター、ファントムが愛するクリスティーンはオペラ・ミュージカル女優タイラ・アレクサンダー、そして劇中劇のファウスト役がイギリスのオペラ歌手でテノールのポール・ポッツ。流れる音楽はビゼー、ドヴォルザーク、ヴェルディなどのオペラ、さらにモーツァルトらの名曲のアリアが散りばめられている。 酷い顔に生まれついた怪人ファントムの心の美しさ。愛する女性を若く美しい若者に奪われる切ない男心。私が舞台を観ていてつい落涙する作品はごく少ないのだが、その一つがこの名作。 心を揺さぶるメロディに乗って歌う主人公の人生を思い至る時、人生とは何と理不尽なのだろうーと目頭が熱くなるに違いない。
24/1/12(金)