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日本映画の新たな才能にフォーカス
イソガイマサト
フリーライター
みなに幸あれ
24/1/19(金)
ヒューマントラストシネマ渋谷
「日本ホラー映画大賞」の第1回大賞に輝く同名の短編を長編にバージョンアップした、下津優太監督の劇場映画デビュー作。自身もホラー映画が大好きという古川琴音が主演の本作は、久しぶりに田舎の祖父母を訪ねた看護学生の“孫”が、理解不能な恐怖の渦に巻き込まれていくさまを生々しいタッチで映し出していく。 普通に会話をしていた祖父母がいきなり豚の鳴き声を始め、食事中に祖父が食べ物を吐き出する。さらには2階からは怪しげな音が聞こえてきて……。いったい何が起こっているのか? 次々に起こる怪現象、それに対する祖父母たちのあり得ない行動に観る者はヒロインと一緒に戸惑い、味わったことのない恐怖に包まれることになる。その底なし悪夢のスパイラルは、これまでのJホラーとは一線を画すもの。『哀れなるものたち』『ロブスター』などのヨルゴス・ランティモス監督を敬愛し、自身も和製「A24」的な作品を目指しているという下津監督の新世代のホラーワールドをぜひこの機会に体感してみて欲しい。観終わった後には、全身にじと〜っとしたイヤな汗がこびりついているはずだから。
24/1/19(金)