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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

ダム・マネー ウォール街を狙え!

2020年に起きた実際の事件が、早くも映画になった。 コロナ禍、SNS、ユーチューバー、格差といったまさに「今日的テーマ」が凝縮されている。 主人公は、昼は会社員、夜はユーチューバー。彼が「ゲームストップ」という企業の株を、みんなで買おうとネットで呼びかける。それに応じる、彼とは直接は何の面識もない普通の人々がヘッジファンドに挑むドラマだ。普通の人の代表として、看護士、学生ローンに苦しむ大学生、ゲームソフト販売店の店員など何人かと、億万長者たち数人が、主要登場人物の群像劇。その時々での彼らの資産額が字幕で示され、マネーゲームの実況中継的な面白さもある。 「ゲームストップ事件」については、なんとなく聞いたことがある程度だったので、こんな事件が起きていたのかという驚き。まさに、事実は小説よりも奇なり。 株取引の専門用語が出てくるが、それらは日本版の公式サイトにある用語解説を読んでおけば、すんなり頭に入るだろう。 情報映画としても見て損はないし、社会派娯楽作として、息もつかせぬ面白さ。日本の「社会派」映画にはない「軽さ」がある。そこがアメリカ映画のいいところだ。 ネット社会となり、誰もがスマホで簡単に投資できる時代だが、それゆえに可能になった、下剋上というか、階級闘争の記録でもある。 ネット環境という点では日本もアメリカと同じだろうし、テレビや新聞・雑誌、そしてネットのコマーシャルでも新NISAをあおっているので、数年後には日本でもこういう事件が起きるかもしれない。その意味では、富裕層や機関投資家にとっては、見てほしくない映画かもしれない。

24/1/25(木)

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