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Tak

美術ブロガー

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」

奥州藤原氏初代清衡が中尊寺に金色堂を建立したのが1124年(天治元年)。今年(2024年)はそれから900年目となる節目の年にあたります。金色堂は、中尊寺創建当初の姿を今に伝える唯一の建造物であり、1951年に国宝第一号として、2011年にはユネスコの世界遺産に登録されました。 奥州の黄金文化を今に伝える金色堂は、江戸時代には松尾芭蕉も曽良と共に訪れ、『奥の細道』にこう記し、あの有名な俳句を詠んでいます。 「兼て耳驚かしたる二堂開帳す。経堂は三将の像を残し、光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す。七宝散うせて玉の扉風にやぶれ、金の柱霜雪に朽て、退廃空虚の草村となるべきを、四面新に囲みて、甍を覆て風雨を凌ぎ、暫時千歳の記念とはなれり。」  五月雨の振残してや光堂  (『新版 日本古典文学全集』小学館) 『奥の細道』にある「光堂」こそが「金色堂」のことで、1189年に奥州藤原氏が、奥州合戦で鎌倉軍に敗れ滅亡した丁度500年後の1698年に平泉を訪れこの句を残しています。 「光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す。」と芭蕉も記している通り、中尊寺金色堂はある意味で非常に特殊な建物です。阿弥陀堂でありながら、藤原清衡、基衡、秀衡3代の遺体(ミイラ)が安置されている墓所でもあるのです。 平泉にある中尊寺金色堂まで足を運んでも覆堂の中のガラスケース越しにしか金色堂を拝むことが出来ず、堂内の仏像は遠目にしか確認できません。藤原氏3代の遺体が安置された中央壇、西北壇、西南壇と3基の須弥壇には、それぞれ阿弥陀三尊像、二天、六地蔵像から成る計11体の仏像(全て国宝)が配されています。 今回の「中尊寺金色堂展」では、金色堂を建立した藤原清衡が眠る中央壇に安置されている国宝の仏像11体すべてを平泉から移送し展示しています。中尊寺の最も重要ともいえる仏像11体がまとめてお出ましになられているのです。勿論これは初めてのことです。 仏像以外の展示も見逃せないものばかりです。中尊寺境内にある讃衡蔵と呼ばれる宝物館でも中々お目にかかれないものが今回出ています。藤原清衡が8年の歳月をかけて制作させた中尊寺経は金泥字と銀泥字で一行おきに書写されています。 またこの展覧会のために制作された超高精細な8KCGで魅せる原寸大中尊寺金色堂の映像は誰しもがその映像美や出来栄えの良さに感嘆するでしょう。NHKと東京国立博物館が共同で開発した超高精細なデジタルアーカイブの手法8KCGは、3Dメガネなどかけなくても、立体的に迫力ある動画で金色堂の内部まで目にすることができます。幅約7メートル×高さ約4メートルの大型ディスプレイ上に原寸大の金色堂を再現。展覧会で映像作品はよく目にしますが、これは圧巻の一言です。混雑していても真正面から観ることお勧めします。 中尊寺金色堂の人気は日本国内のみならず、海外でもその存在が知られ、現在では拝観者の約7割が訪日外国人観光客だそうです。東京国立博物館での特別展にもきっと海外から多くの方が普段お目にかかれない仏像を観るために足を運ばれることでしょう。

24/2/2(金)

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