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木谷 節子
アートライター
特別展「本阿弥光悦の大宇宙」
24/1/16(火)~24/3/10(日)
東京国立博物館
本阿弥光悦といえば、《風神雷神図屏風》で有名な俵屋宗達とのコラボで有名。本展は、近世初期にアートプロデューサーとして彼が関わった芸術品の数々を、最新の研究を踏まえて紹介した展覧会だ。 《舟橋蒔絵硯箱》や《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》など、教科書級の名品を数々見られることはもちろんだが、今回の衝撃はなんと言っても、光悦と宗達が親戚同士だったとわかる系図を見られたことですよ。いくつもの作品を協業した2人は「琳派の祖」としても知られるが、そもそも宗達の素性が不明なので、色々説得力に欠けることも。ところが今回、2人が義理の兄弟だったという高確立な可能性が出てきたことで、今まで感じていたモヤモヤが一気に晴れた。 また熱心な日蓮法華宗の信者であった光悦の宗教的な側面にガッツリ焦点を当てていたのも面白く、図録所収の論文では、光悦の芸術村などと呼ばれる鷹峯の光悦町についての記述が目からウロコ。実際の展示では、光悦の手のぬくもりが感じられる茶碗の数々に、彼のアーティスト魂を感じました。
24/2/1(木)