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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介

佐々木 俊尚

フリージャーナリスト、作家

グリーンブック

数々の傑作を生み出してきたロードムービーに、また新たに素晴らしい作品が。舞台は1962年。レニングラード音楽院で学んだ素晴らしい黒人ピアニストが、まだ人種差別の激しいディープサウスへのツアーを試み、用心棒兼ドライバーとしてブロンクスのがさつなイタリア系移民の男を雇う。この設定だけでもうワクワクするぐらいにおもしろそうな映画なんだけれど、主人公のふたりの演技が素晴らしく、そして人種差別をただ唾棄すべきものとして描くのではなく、しかし単なる珍道中コメディとして描くだけでもなく、切実な当事者性を込めたとても深い内容になっている。南部のお金持ちの白人たちは黒人差別をしている一方で、なぜ著名黒人ピアニス...

19/2/25(月)

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