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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

ゴールド・ボーイ

アラン・ドロンの『太陽がいっぱい』を思い出させる、完全犯罪とその破綻の物語。だが、さらに複雑で二重の、三重の完全犯罪なのだ。それを、犯人側から描く。それなのに意外性がある。 中国でベストセラーとなったサスペンス小説を、沖縄を舞台にして、日本人の物語とした。 沖縄が舞台だが、設定としては、日本のどの地方都市でも成り立つストーリー。しかし、沖縄の、どこまでも明るく、乾いた風景のもとで展開されることで、救いのない物語の残虐さが、より際立つ。どこまでもドライで湿っぽさがない。 「子役」と呼ぶには微妙な年頃の3人の若い俳優が、「恐ろしい子ども」たちを演じている。これが「うまい」という次元を超えて、ドキュメンタリーを見ているようなナチュラルさ。それと対峙する岡田将生が、あの端正な顔立ちで、ロボットのように無表情に完全犯罪を実行していく。彼の犯罪は美しく、見惚れてしまう。 二転三転していくストーリーは、予測が難しい。それが面白さではあるのだが、あとあじは、よくない。救いがないというか、これでいいのかというラスト。と思わせておいて、さらに逆転がある。 貧困とか虐待とか、いじめとか、少年法とか、いろんな問題が詰め込まれている。しかし、それを告発するのは、この映画の本質ではないのだろう。重い設定を、ミステリ劇に徹した、潔さがいい。

24/2/22(木)

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