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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介
堀 晃和
ライター(元産経新聞)、編集者
映画 マイホームヒーロー
24/3/8(金)
TOHOシネマズ 日本橋
小説や漫画が原作の実写映画は別のものと思って観てきた。2時間程度の上映時間に収めることを考えても、ある程度の翻案は避けられないからだ。キューブリック監督の『シャイニング』(1980年)もスティーヴン・キングの小説とはかなり違っていた。だが、間違いなく傑作だ。 『映画 マイホームヒーロー』は同名の大人気漫画が原作。妻と娘との3人で暮らす会社員・鳥栖哲雄が主人公の家族愛を軸にしたサスペンス作品だ。連載中の内容を実写でどのように表現するのか。漫画では、ある“大事件”の7年後を描く第3部が進行中だが、映画では、当該部分がベースのオリジナルストーリーで構成されている。 映画は別ものと言ったものの、原作に思い入れがあると、やはり譲れない点はある。特に主人公の描かれ方だ。鳥栖哲雄は一見頼りない印象だが、趣味で書くミステリー小説の知識で培ったトリックを駆使して凶悪な半グレ組織に挑む“ヒーロー”の顔も併せ持つ。 配役が最大の関心事だったが、佐々木蔵之介の立ち居振る舞いに満足した。プレス資料には「原作再現度100%」とあったが、異論はない。 他に印象に残った出演者は鳥栖歌仙役の木村多江。夫の哲雄を見つめる視線が何とも優しい。
24/2/19(月)