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クラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

新国立劇場オペラ『トリスタンとイゾルデ』

この3月後半には、二つの『トリスタンとイゾルデ』上演が激突する。ワーグナー・ファンにとってはうれしいことだ。究極の愛の物語が官能美の極致の音楽で描かれる圧倒的な音楽ドラマだから、せめてどちらか一つでも体験しておくことをお奨めする。ただしワーグナーのオペラだから長いのは致し方なく、2回の休憩を入れても5時間、6時間という長尺ものになることは予め覚悟しておかなければならない。劇場内のバーカウンターで、軽食ぐらいは手に入る。 これは、コーンウォールの騎士トリスタンと、アイルランドの王女イゾルデとの悲恋の物語である。2010~2011年にかけて同劇場で上演されたデイヴィッド・マクヴィカーによる演出、大野和士指揮によるプロダクションの再演だ。筆者も前回の上演を観たが、非常に細かいニュアンスの演技表現が盛り込まれた演出と、過度の誇張はないけれども劇的な起伏の大きな、しかもあたたかさを備えた指揮とに、強い印象を受けたのを記憶している。 今回は全く新しい配役で、ブダペスト出身のテノール、ゾルターン・ニャリをトリスタンに、ラトヴィア出身のソプラノ、リエネ・キンチャをイゾルデに配した題名役陣での上演だが、重要な侍女ブランゲーネ役にわれらの世界的歌手、藤村実穂子が迎えられているところも注目ポイントだろう。オーケストラは東京都交響楽団である。

24/3/5(火)

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