幕が開くと、どこかで見たことのあるような、類型的な物語が始まる。時にはドタバタコメディ、時にサスペンス、あるいはSF。その物語を見守っているうち、ちょっとしたほころび、極端さ、不自然さがぼんやりと浮き上がってくる。たとえば特定の単語が発せられるとあるキャストが反応する、別のあるキャストは時々妙にしぐさが大きい、等々……。そのうち、最初に見ていた物語が進行しつつも、舞台の上にはもうひとつ、別のルールで動いている世界が重ねられてゆく。ルールに気づくたび、劇場を包む笑い声のボリュームが上がっていく。そして見終えて気づく。振り返ってみれば最初からその世界はあったのだ、私たちが気づかなかっただけで。 ...

19/2/1(金)