音楽に疎い筆者などはジャズ・ドラマーというと『ベニイ・グッドマン物語』に登場するジーン・クルーパぐらいしか名前を知らないが、ロック音楽をはじめバンドにはドラムが大きな役割を演じているのは確かである。古代から太鼓を叩いてリズムを刻むことは世界各地で知られており、そのリズムを、例えば心臓の鼓動のような身体的なリズムに結びつけて考えた思想家もいる。そんなリズムを音楽シーンで刻むドラマーたちの個性豊かな演奏とその歩みを描いたドキュメンタリーだ。クイーンのロジャー・テイラー、ピンク・フロイドのニック・メイソン、さらには女性ドラマーたち、多くのドラマーの証言を交えながら、ドラムが生み出す“魂のリズム”の謎に迫って興味深い。音楽ファンのみならず楽しめる。

24/3/13(水)