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映画館の暗闇とスクリーンで観てほしい映画を紹介します!
中谷 祐介
編集者(ぴあ)
私ときどきレッサーパンダ
24/3/15(金)
TOHOシネマズ日比谷
コロナ禍に配信のみで公開されていたピクサー作品が3作連続で劇場公開されます。やっぱりスクリーンで観たいですよね。 ピクサー作品はスケールの大きな物語を描く一方で、誰もが感じたことのある個人の中の小さくも重要な感情をしっかりと描いてきましたが、本作もピクサー王道の系譜。朝起きたら自分がレッサーパンダになってしまった13歳の女の子が、“元に戻る”のと同じぐらい、友達と約束している人気アイドルのコンサートに行くことを重視している設定がさすが! この年齢だと友達との遊びの約束、好きなライブに行くことは、生死に関わるぐらい重要だったりするんですよね。 監督のドミー・シーは『モンスターズ・インク』や『インサイド・ヘッド』を手がけたピート・ドクターに近いスタイルをもつフィルムメイカー。『インサイド…』は思春期の子どもの頭の中を描いた作品だったので、本作との類似性も感じられると思います。 この種の話は最終的には「元に戻ってよかったね」で終わることが多いのですが、そこにも工夫を凝らしているのがピクサー流。レッサーパンダに変身してしまうことを“単なるトラブル”だと片付けない結末の付け方にも注目してください。
24/3/15(金)