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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
変な家
24/3/15(金)
TOHOシネマズ 日比谷
もともとは動画投稿サイトで話題になったものを、動画制作者自身が書籍化し、ベストセラーになったもので、コミカライズに続いての映画化。 主人公は、その原作者を思わせる、オカルト専門のYouTuberという、きわめて現代的な装いで始まる。 家の間取り図から建てた人の意図を推理し、ある事件が浮かび上がるという、ミステリとしても斬新な発想で、ベストセラーになったのも、うなずける。 しかし、やがて明かされる謎は旧家にまつわる怨念なので、古いと言えば古い。 さらに、歌舞伎の『東海道四谷怪談』で使われているような古典的な手法で、観客を驚かせるという意味でも、少しも新しくはない。 しかしホラー映画は、別に新しくなくていいのだ。映像は不気味だし、仕掛けも十分。ストーリーも謎と恐怖に満ちていて、十分すぎるほど怖い。安心して、恐怖に震えてほしい。 かつて金田一耕助として旧家にまつわる謎を解明してきた石坂浩二が、謎めいた旧家の主として登場するのは、ミステリファンを喜ばせる。 母親役で出る斉藤由貴もミステリアスで、べつに斉藤由貴でなくてもいいのにと思っていたが、なぜ彼女がこの役を演じているのかは、ラストで明かされる。
24/3/15(金)