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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

いまでは全国的に有名は名古屋のミニシアター、シネマスコーレ。若松孝二監督が1983年に作ったこの小さな映画館の誕生秘話と紆余曲折の黎明期を、『福田村事件』の脚本家でもある井上淳一監督が自らの実話を絡めて描いた本作はとんでもなく面白い。 40年前、高校生だった井上監督がシネマスコーレに「若松監督は今日来てますか?」と言って訪ねてきたとき、受付にいたのが自分だったので、当時の記憶とともに特別な感情が湧いたのは否めない。 井浦新さんの喋り方や怒り方が若松監督にそっくりだったり、東出昌大さんの身のこなしや歩き方が木全純治支配人に似ていたから、クスッと笑ってしまったのも事実だ。 でも、それだけで「面白い」と言ってるわけじゃない! 当事者じゃなくても若松監督や木全支配人のことを知らなくても、本作は楽しめる。シネマスコーレを魅力的な映画館にするために奔走する木全支配人と、ダメダメな助監督から映画人生をスタートさせた井上監督の奮闘劇が熱く、ありのまま、まっすぐに描かれているからだ。 スコーレでバイトをしている、まだ何者でもない大学生たち(芋生悠、田中俊介)のモヤモヤした思いに共鳴し、心を揺れ動かす若い観客も間違いなくいると思う。 それにしても、巧みな構成と語り口に笑いと映画的な遊びを織り交ぜ、実話をエンタメの広がりで楽しく見せるこの豊かさは何なのだ!? しかも超低予算なのに。井上監督の次作が、早くも楽しみになってきた。

24/3/19(火)

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