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笠井 信輔

フリーアナウンサー

ミッシング

幼い娘が行方不明になると夫婦は、家庭はどうなるのか? 真綿で首を絞めるような感覚というのはこういうことを言うのだろう。母親役の石原さとみはこれまでにない新境地で、心が壊れてゆく母を入魂の演技で見せる。自らも母となったことがさらに演技の幅を広げたのは間違いないだろう。少しのことで暴発してしまう妻を何とか受けとめようとしながらも戸惑う夫、青木崇高がまたいい。きっと私もああなるのだ。そして妻との溝がどんどん深まってしまう。 行方不明事件のご家族の取材経験があるのでよくわかるが吉田恵輔監督の取材量は相当なものだ。観客はまるで親族のようにかたずをのんで見守ってしまう。マスコミの描写もバランスが取れている。悲しいが、ああいうことが起きているのだ。

24/5/19(日)

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