ソプラノ中村恵理が主演のヴィオレッタを歌うのは2022年以来。あの時は急な代役だったが、今回は堂々とキャスティングされて、新国立劇場開場以来初めてとなる日本人ヴィオレッタをつとめる。
彼女の歩みを振り返れば、英国ロイヤルオペラやバイエルン州立歌劇場の名門に所属し、新国立劇場でも、これまで『フィガロの結婚』スザンナ、『イドメネオ』イーリア、『トゥーランドット』リュー、『蝶々夫人』のタイトルロールと、確固たるキャリアを重ねてきた。いまやオペラ界の顔の一人だ。
プリマ・ドンナがこの劇場で『椿姫』のヒロインを演じ歌うのは、自分の「時代の一ページ」を飾る時間だ。前回より更に深いヴィオレッタ中村を堪能しよう。