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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

帰ってきた あぶない刑事

シリーズ物で気にしている点がある。過去作を知らなくても楽しめるか否かだ。映画第8作『帰ってきた あぶない刑事』はどうか。文句なしに面白い。もちろん、1986年のTVシリーズから観続けていれば、その魅力をさらに感じ取れるだろう。 舘ひろし演じる「鷹山敏樹」(タカ)と柴田恭兵の「大下勇次」(ユージ)。定年後、ニュージーランドで探偵稼業を始めたがトラブルとなり、8年ぶりに地元・横浜へ。戻ってきた時に埠頭で殺人事件が起きる。その頃、ふたりが開いたT&Y探偵事務所に、母親の夏子を探してほしいという彩夏(土屋太鳳)が訪れた。夏子はふたりには旧知の女性だった…。 よく練られたストーリーに、主役のふたり以外にも「飛龍」(岸谷五朗)や「町田捜査課長」(仲村トオル)ら魅力的なキャラクターが絡む。派手なアクション、味わいのある格闘シーンも見逃せない。ただ、何と言っても舘と柴田の存在感に尽きる。2023年11月の製作発表会見時、舘は73歳で柴田が72歳。この世代でこんなにも“魅せる動き”ができる日本の俳優がいただろうか。タカとユージこそ最大の見所ということを改めて実感する。個人的に大好きな横浜ハンマーヘッドの埠頭に佇むふたりが何とも恰好いい。

24/5/29(水)

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