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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
ゲバルトの杜ー彼は早稲田で死んだ
24/5/25(土)
ユーロスペース
ゲバルトとはドイツ語で暴力を意味するが、1960年代末の学生運動の高揚期に見られた激しい暴力的行動を指す。その中心を担った新左翼諸党派間の暴力的な抗争が内ゲバといわれ、数多くの若者が内ゲバで亡くなった。1972年に早稲田大学文学部で川口大三郎君が中核派のスパイと疑われ、当時の文学部自治会を支配する革マル派にリンチで殺された。その顛末を、鴻上尚史演出の再現シーンや同時代を生きた識者たちの証言を交えながら、その後の一般学生による自治会再建の運動を描いたドキュメンタリーだ。当時の若者たちが社会変革を夢見ながらも暴力に走ったのはどうしてか。暴力に「革命的」や「正義の」などの形容詞をつけられるのか。今日の世界を考える上でも大きな問いを突きつけてやまない。
24/5/21(火)