水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

落語会に年200回以上通う目利き

広瀬 和生

「BURRN! 」編集長、落語評論家

代官山落語夜咄 三遊亭兼好『井戸の茶碗』produced by 広瀬和生

前半長講、後半トーク(約1時間)の「代官山落語夜咄」。今回は三遊亭兼好が『井戸の茶碗』をネタ出し。『井戸の茶碗』は講釈ネタを落語にした演目で、志ん生・志ん朝の名人二代が得意としたことでポピュラーになり、現代でも多くの演者が手掛けている。「登場人物が正直者ばかりで気持ちがいい噺」と評されるが、実のところ千代田卜斎という浪人者に関しては「単なる頑固者」に見えることも多く、演者を選ぶ噺でもある。その点、兼好が演じる『井戸の茶碗』は素直に「全員が正直者」と思える稀有な逸品だ。人物描写の妙で見事なまでに清々しい噺に仕上げた兼好の『井戸の茶碗』、この機会にぜひとも体験してほしい。

24/5/23(木)

アプリで読む