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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
あんのこと
24/6/7(金)
新宿武蔵野館
ヤングケアラーの存在が知られて、その数の多さに驚いた人も多いはず。ただ単に孫が親や祖父母の介護をするだけでなく、そこには貧困問題、また何故そんな状態に至ったのかという理由がある。子どもが学校に行けず、親のケアをするには根源に家庭内トラブルを抱えている場合が多い。杏(あん)もそんな少女の一人だ。母は子どもの教育の必要性などを理解できておらず、働き手として認識している。しかしろくに学校へ行ったことのない少女にできる労働は限られている。親が当然のように仕向ける売春。娘は家にいるためには母のいうことを聞くしかない。杏は風変わりな刑事によって救い出されるが、すぐにコロナによって道が閉ざされる。彼女はほんの一例でしかない。このような少女が増えている理由には、この国の異様さが必ず存在している。
24/6/2(日)