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夏目 深雪
著述・編集業
朽ちないサクラ
24/6/21(金)
TOHOシネマズ 日比谷
『孤狼の血』の柚月裕子による同名小説の映画化。記者である親友が変死し、捜査する立場にないものの事件を調べ始める警察の事務職のヒロイン泉を、『市子』の熱演が記憶に新しい杉咲花が好演している。元公安で、今は広聴課課長という泉の上司・富樫に安田顕、捜査一課の係長・梶山に豊原功補が扮し、いぶし銀の魅力を放っている。 カルト宗教の起こした過去の事件も絡んでくる事件は、ラスト想定外の着地をするが、謎解きの部分はもちろん、泉と梶山双方に、自分のミスにより人を死なせてしまったという自責の念があるのが物語に深みを与えている。女だてらにスーツを着こなすバリキャリウーマンが活躍する捜査ものもいいが、自責の念と熱意だけで真実に近づいてしまう「事務のお嬢ちゃん」が活躍する本作は、今時らしい新しいカタルシスを与えてくれる。おススメ。
24/6/24(月)