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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

朽ちないサクラ

柚月裕子による「警察小説」の映画化。ほぼ、原作通りの展開。 杉咲花が演じる主人公は県警の広報課で働いている警察職員だが、一般職での採用で、警察官ではない。だから、捜査権はないのだが親友の新聞記者が殺されてしまい、それが自分のせいではないかと思い、真相をつかもうと動き出す。安田顕演じる上司は、杉咲の独自の捜査を容認するどころか、手助けもする。彼には公安警察にいた過去がある。「敵の敵は味方」の構図が見え隠れする。 刑事警察と公安警察の対立の図式は、警察小説ではおなじみの世界だが、刑事ではない一般職の女性職員という視線を得たのが、新しい。 そこに、オウム真理教をモデルとしたカルト教団がかかわってきて、思わぬ展開、意外な真相が待っている。 「真の犯人」を探すミステリとして、よくできている。いたるところに置かれた伏線が回収されていく。タイトルもまた、伏線のひとつである。 全体として静かな映画だ。画面の色調も抑制的で、音楽も鳴り立てない。主要人物である杉咲花と安田顕は、セリフも静かで、どんなときも表情を変えない。大声で騒ぐのは、豊原功補が演じる刑事課の刑事くらい。 その「静かさ」が、警察という組織が抱える「闇」そのものを表している。

24/6/9(日)

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