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おとなのJ-POPとJ-ROCKを紹介

平山 雄一

音楽評論家、プロデューサー、俳人

府中市制施行70周年記念 TOKYO シティポップ 花火 2024

今年2月にこのコラムで紹介した「シティポップ」が、この夏、花火とコラボする。その名も「シティポップ×花火」。正式名称は「府中市制施行70周年記念 TOKYO シティポップ 花火 2024」で、東京競馬場のある府中市の記念行事として行なわれることになった。 このイベントは一昨年はローリング・ストーンズ、昨年は松任谷由実とコラボして大反響を呼んだ。14000発の花火が、洗練されたサウンドに合わせて打ち上げられ、夏の夜空を彩る。今や大人のエンタテインメントとして人気の企画となっている。  僕がこのイベントを面白いと思ったのは、サウンドとビジュアルが今までにないスタイルで融合するからだ。サウンドは文字通りシティポップの名曲が使われるのだが、生演奏ではなく既成の音源が流される。一方、花火は光が時間軸を追って花開いていく。爆発音も含めてタイミングの調整が非常に難しい。  40年前に生まれたシティポップは、若者や海外の音楽ファンによって再評価されて、いまや大人気。一方で花火はタイミングも光も進化の真っ最中。新しくて懐かしいメロディと花火がうまく融合したら、前代未聞のエンタテインメントが生まれることになる。 光と音のシンクロでいえば、古くは80年代前半にジェネシスやピンクフロイドが行なった“ライトショー”があった。当時最新の照明機器“バリライト”が使用され、音楽とビジュアルの革命を起こした。しかし「シティポップ×花火」はデジタルの照明ではなく、アナログの花火とサウンドの融合になる。また生演奏ではないので、「ライブ感」をどう演出するかが最大の焦点となる。おそらくオーディエンスが一体となって盛り上がるとき、新しい「ライブ・エンタテインメント」が現出することだろう。 総合演出の平山英雄氏は話題の花火クリエイターで、その手腕は折り紙付き。山下達郎や大滝詠一などのレジェンドや、桑江知子などシティポップ・ブームで新たにスポットライトが当たったアーティストたちの精魂こめて作り上げたポップ・サウンドが、カラフルな光を得てどんな輝きを見せるのか。注目のイベントになりそうだ。

24/6/18(火)

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