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水先案内人のおすすめ

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柔軟な感性でアート系作品をセレクト

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

密輸 1970

この映画も、主人公である海女たちも、アマく見ちゃだめ。なんて、つい駄洒落を言いたくなるくらいご機嫌な一本。監督は、ヒットメーカーのリュ・スンワン。1970年代、韓国の沖合で盛んに行われていたという密輸ビジネスに、やむにやまれず手を出した海女たちと、彼女たちを食い物にしようとする悪いやつらとの攻防を描く犯罪サスペンスだ。 青い海、なつかしの水中バレエを思い出させる海女アクション、70年代ムードたっぷりの音楽・映像的仕掛け、俯瞰ショットの使い方など、とにかくお楽しみがいっぱい。何より物語がいい。身内、当局、密輸ビジネス界の大物らが入り乱れ、誰を信じていいのかわからない状況下で繰り広げられる駆け引きが面白い。『アメリカン・ハッスル』の薫りを思い出す。女たちの紐帯を核心に据えた作劇にも胸がすく。海中で互いをぐいと引っ張る海女の動きが目に焼き付く。 アクション映画で名をあげたリュ・スンワンは、いまやすっかり大作映画の人。スケールの大きなシーンもさることながら、生身の立ち回りの見せ方が抜群にうまい。大韓ロックの先駆、サヌリムの音楽とともに繰り広げられる乱闘シーンにぐっとくること請け合い。音楽監督はチャン・ギハだ。

24/7/3(水)

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