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ジャンル横断、センスのいいセレクト
立川 直樹
プロデューサー、ディレクター
お隣さんはヒトラー?
24/7/26(金)
新宿ピカデリー
こういうのが”映画”なんだよと観終えたときに思わず言いたくなった。ナチス・ドイツ総統として第二次世界大戦を引き起こし、ホロコーストの蛮行を犯したアドルフ・ヒトラーは、映画史上において最も繰り返し描かれてきた歴史上の人物のひとりで、ナチス関連となると、公開中の『関心領域』をはじめ、これまた数え切れないほどの映画が作られているが、ロカルノ、パームスプリングス、ハイファといった欧米の国際映画祭に出品され、驚くべき大胆な内容で脚光を浴びた『お隣さんはヒトラー?』はヒトラー/ナチス映画にあっと驚く新機軸を打ち出した快作だ。1960年、南米・コロンビアで暮らすホロコーストを生き延びた男の家の隣に越してきたヒトラーに酷似した男の人生が交錯していくのを実にうまく1本の映画に仕立て上げたのはロシア生まれの46歳の監督レオン・プルドフスキー。主演のデヴィッド・ヘイマンとウド・キアのうまさは溜息ものだ。
24/7/17(水)