チリの高名なジャーナリストのアウグスト・ゴンゴラと、初代文化大臣を務めた有名な女優のパウリナ・ウルティア。17歳年上のアウグストにはすでに子供もいたが、ふたりは1997年に出会って一緒に暮らし始めた。そして現在、アウグストは認知症を患い、記憶が薄れていくが、パウリナは彼を支えて、自宅でも仕事場でもいつも一緒にいて面倒を見ている。そんなふたりの姿を、セルフドキュメンタリーのようにカメラが追っていく。認知症には記憶の波があるようで、アウグストはパウリナを認める時もあれば、まったくわからなくなる時もある。ふたりの愛が永遠なことをアウグストに伝えるパウリナの献身ぶりには思わず感動するが、記憶を失うことは自己の消滅にも近く、想像以上に恐ろしく感じられてならない。

24/8/18(日)