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パリ発、ヨーロッパで話題の作品を

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

憐れみの3章

『哀れなるものたち』が去年のヴェネチア国際映画祭で金獅子に輝いたと思ったら、今年のカンヌに本作を出品するという、脂ののりっぷりに驚かされるヨルゴス・ランティモス監督。3つに分けられた小話の内容は、いったいどこから思いつくのか、というほどにシュールで論理的な分析を受け付けない。 あえて理屈をつけるなら、現代人を戯画化した風刺と言えるものの、その暴走ぶりは単純な風刺映画を超越している。こういう場合、ふつうなら「嫌味」「やりすぎ」と引いてしまうところだが、ランティモスの場合はなぜかそうならない。おそらくは映像、カメラワーク、俳優の演技、舞台美術といったすべての要素においてハイレベルで洗練されているからか、その世界に魅せられてしまう。 「フィールグッド」になれないのは確かだし、好き嫌いは分かれるとしても、とにかく一見の価値あり。

24/9/16(月)

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