アイデア次第でおもしろい映画が作れるということをスイスで実際に起きた新旧ブラスバンドの対立を映画化した『ロール・ザ・ドラム！』が教えてくれた。1970年にスイス・ヴァレー州の小さな村、モンシュで起きた伝統を重んじるアロイスなる男と、アロイスの指導力を疑問視する楽団のメンバーが村出身でプロの音楽家のピエールをこっそりパりから呼び寄せてしまったことから起きる大騒動。それぞれを指揮者に立てたふたつの楽団の対立が村全体を巻き込んだ大騒動へと発展していくストーリーをユーモアとウィットに富んだコメディに仕立て上げたのは、スイス出身のフランンワ＝クリストフ・マルザール。人気俳優が出ているわけでもなく、これといった派手さは全くないが、妙にホッコリした気分にさせてもらった。

24/9/30(月)