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水先案内人のおすすめ

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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

HAPPYEND

友情を描いた青春映画が好きだ。我が生涯の一本『ディア・ハンター』も、戦争という舞台に、「友情」や「青春」というテーマが横たわっているから何度観ても色褪せない。 『HAPPYEND』も紛う方ない「青春映画」だ。舞台はとある高校。明確な描写は見当たらないが、校長の発言から察すると、近未来の都内という設定だろう。 卒業を控えたユウタとコウは、学校の仲間たちと悪ふざけをして笑い合う、いつも通りの楽しい日々を送っていた。幼馴染の2人は大の親友。ある夜、仲間たちと校舎に忍び込み、いたずらを思いつく。一夜明け、そのいたずらに激怒した校長(佐野史郎)が、校内を監視するカメラシステムを導入したことから、管理社会への疑問、差別など生徒の間で問題意識が高まり……。 空音央(そら・ねお)監督は青春期の心の揺れを優しい視線で描く。そのひとつが「引き画」だろう。少年少女たちの表情に寄るシーンもあるが、言葉にならない胸のうちを、遠くからそっと見守るように、仕草や人物同士の距離で鮮やかに浮かび上がらせる。最も感動的だったのはラストシーンのため、詳細には触れない。仏監督ロベール・ブレッソンの映画でも印象的に用いられた「手」の演出が心に響く。

24/10/8(火)

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