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水先案内人のおすすめ

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平辻 哲也

映画ジャーナリスト

まる

KinKi Kidsの堂本剛が『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来27年ぶりに映画単独主演し、荻上直子監督とタッグを組んだ。アートで生計の立てられない男が、ふと思いついたように描いた「◯」がアートとして認められ、大騒動に巻き込まれる。言語化がなかなか難しく、奇想天外な物語だが、これが抜群に面白い。笑えるし、ホンモノとは何か、アートとは何か、カネとは何か。SNS時代の熱情への風刺も効いている。   堂本は、成功を手に入れながらも、どこかに違和感を感じている男を言葉少なに好演。主人公につきまとって、カネの無心をする漫画家志望の隣人(綾野剛)、売れっ子現代アーティストの搾取に猛抗議する元アシスタント(吉岡里帆)など脇のキャラクターたちも強烈で、魅力的だ。   本作は荻上監督が、堂本ありきで企画し、2年越しのラブコールで実現。荻上監督は、堂本が以前のインタビューで「若い頃に自分を見失ったことがあったが、音楽と巡り合うことで楽になった」といった発言を読んで、自分が分からなくなってしまった男性の物語を当て書きしたのだという。不思議な世界観に魅了される。「◯」ではなく、「◎」をあげたい。

24/10/20(日)

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