芸術の秋に“本物”を堪能した幸せな気分。脚本家・倉本聰が作りあげた骨格のしっかりとした大人のための作品だ。 有名日本画家・田村（石坂浩二）が展覧会の自分の作品が贋作だと気づく。そのころ、全身に入れ墨をした女性（清水美砂）の遺体が…。二つの事象に関係する天才画家（本木雅弘）はそのころ……。 サスペンスフルに畳み掛ける導入部からすっかり掴まれてしまう。さすが若松節朗監督。特に、悲しみをたたえながら情熱と狂気の間をゆく本木雅弘と、怪しげな存在感満載の中井貴一はともに演技賞ものの芝居。 本物よりもすばらしい贋作が出現した時に、世間はどう反応するのか？ 片時も目が離せない「美の狂人たち」のぶつかりあいを楽しんでほしい。

24/11/25(月)