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平山 雄一
音楽評論家、プロデューサー、俳人
甲斐バンド
24/12/1(日)~24/12/29(日)
Zepp Haneda(TOKYO)、CLUB CITTA'
この11月にデビュー50周年を迎えた甲斐バンドが全国ツアーを敢行中だ。 甲斐バンドはチューリップなど続々とスターを生んだ博多から登場。セカンドシングル「裏切りの街角」がロングセラーとなる。子供の頃から洋楽を聴き込み、一方で歌謡曲の歌詞に影響を受けた甲斐よしひろは、独特のエキセントリックなロックナンバーを次々に発表。79年に「HERO(ヒーローになる時、それは今)」が大ヒットして不動の地位を確立した。その他、「安奈」や「漂泊者(アウトロー)」など日本のロック史に残る名曲が数多くあり、メロディメーカーとしての才能とドラマティックなリリックは、いまだに色褪せない。 ライブにも強いこだわりがあり、箱根芦ノ湖畔や花園ラグビー場など、前例のない場所でのライブ開催は大きな話題を呼んだ。中でも現在、都庁の建つ“都有5号地”で行なわれた「THE BIG GIG」(83年)は、高層ビルの谷間というシチェーションもあいまって伝説となっている。 その後、甲斐バンドは何度も解散や活動休止、再結成を繰り返し、今に至るのだが、近年はバンド活動の目標が鮮明になり、シャープさを増しているように思う。かつてのナンバーを現時点でアップデートし、常にその日限りのライブを作り上げることに注力。デビュー50周年にしてのこのバイタリティには、驚かされる。 今回のツアー直前、甲斐にインタビューする機会を得た。その際、自分の過ごした少年時代のエピソードを嬉々として語ってくれた。博多の街のいきいきとした部分と、裏町のスリリングな駆け引きのギャップが、彼のソングライティングに深みを与えていることを実感したのだった。 そんなヴィヴィッドな心を持って臨む今回のツアーは必見だ! 50周年のさまざまな活動は来年いっぱい続くという。
24/11/22(金)