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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み

真魚 八重子

映画評論家

どうすればよかったか?

優秀な姉が医療関係者の両親の影響から医大を目指した。無事に入学するが、しかし進学後に統合失調症の症状が表れ始める。両親は精神科医の診察を一度は受けさせたものの、見解が合わず姉の診療をやめてしまう。実家を離れていた弟の藤野監督は、ドキュメンタリー作家となってから改めて、カメラを実家に持ち込む。姉の病状はまったく変わっておらず、遠くをぼんやり見ていたかと思えば鋭い奇声をあげる。現在の座敷牢と化した実家は、藤野が家を出た時のまま止まってしまったようだ。当然、統合失調症の治療を受けさせない両親に問題があるのだが、父と母ではその辺りの意見も異なる。そして老いとともに親の認知症の問題までが浮上する……。精神の病を巡る現実の衝撃に、いやがおうにも抉られる映画だ。

24/11/25(月)

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