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上野 紀子
演劇ライター
日英国際共同制作 KAAT × Vanishing Point 『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』
24/11/28(木)~24/12/8(日)
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
村上春樹の短編小説『品川猿』『品川猿の告白』を原作としたこの舞台、KAAT神奈川芸術劇場とスコットランドの劇団ヴァニシング・ポイントの共同制作で、2年前からスタートしている企画なんですね。ワークショップを重ねていよいよ開幕!となったその過程については、出演者の那須凜さんがインタビューで詳しく語ってくださっているのでぜひご一読を。心惹かれる人間の女性の名前を盗む“品川猿”の奇妙な恋物語を、那須さんら日本人の俳優4名、人形遣いを含めた英国人の俳優5名で紡いでいきます。その稽古を覗かせていただいたのですが、日本語と英語の台詞が交錯して展開するさまが妙にスリリングで(字幕あり)、おおお、これは新感覚! ヴァニシング・ポイントの芸術監督で、この作品の原案・構成・演出を手掛けるマシュー・レントンさんが、シーンごとにさまざまなパターンを試していく様子は、那須さんのお話の通りにすこぶる実験的。「きっと本番直前までトライ&エラーは続くと思います」と語った那須さんの笑顔に、2年かけて積み上げて来たチームの信頼を見たのでした。単なる村上文学の舞台化では終わらない、品川猿が私たちに気づかせてくれるものを、この世界初演でぜひつかみたいですね。
24/11/26(火)