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日本美術、西洋美術をバランス重視で
木谷 節子
アートライター
儒教のかたち こころの鑑―日本美術に見る儒教―
24/11/27(水)~25/1/26(日)
サントリー美術館
日本には古代に中国から伝来し、江戸時代以降社会に広く浸透した「儒教」に根差した日本美術を紹介する展覧会。「儒教」と聞いて「説教くさそう」と思いきや、漢画で名を馳せた狩野派の、キラキラの名品が多数。永徳作と伝えられる「二十四孝図」は襖絵も屏風絵も人物表現が素晴らしく、探幽の名古屋城本丸御殿の襖絵は「瀟洒端麗」という教科書通りの画風を堪能できて、それだけでも眼福。為政者の空間を彩ってきた狩野派の伝統の「厚み」には目を見張った。 江戸時代以降では、湯島聖堂に関する展示や、儒教の庶民への浸透が興味深く、こちらは美術史や思想史だけでなく、教育史としても楽しめた。とくに浮世絵など様々なメディアを通じた儒教の裾野の広がりは、太平の世が育んだ江戸文化の豊かさを感じずにはいられない。と同時に、この時期に骨の随までしみこんだ儒教の精神が、日本の近代を育て、現在の日本人の国民性や道徳心に繋がっているのだろうと思うと、儒教の影響って凄いんだなあ、と考えさせられた。
24/12/21(土)