Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

現代作曲家の立場で分かりやすく紹介

三枝 成彰

現代作曲家

新国立劇場オペラ『魔笛』

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトはいわずと知れた大作曲家ですが、私は彼のもっともすごいところは、器楽曲とオペラの両方をかけたことだと思っています。 作曲家には大きく分けて2つのタイプがあります。1つはシンフォニー型の作曲家。ベートーヴェンがその典型的な例です。左脳型とでもいえるでしょうか。小さな細胞を1つ1つロジックで緻密に組み上げていって、大きな作品を作り上げる作曲家です。例えば交響曲第5番「運命」などは「(ン)タ・タ・タ・ターン」というひとつのモティーフをさまざまなヴァリエーションで聴かせることで成り立っています。もう1つのタイプはオペラ型の作曲家。言葉や文学性に触発されて作曲するタイプで、いわば右脳型、感性型といえるでしょう。プッチーニがそのよい例です。だいたいどの作曲家も、そのどちらかに分類されると思います。しかしモーツァルトはその両方に素晴らしい作品を遺した稀有な存在なのです。 『魔笛』は、モーツァルトもメンバーであったフリーメイソンの思想の影響が色濃い作品だと思いますが、12月10日(火)~15日(日)の東京・新国立劇場での公演では、演出のウィリアム・ケントリッジさんが、この作品が内包する啓蒙思想に植民地主義を通して光を当てた解釈で舞台を作られるとのこと。また新たな『魔笛』の誕生が楽しみです。指揮はトマーシュ・ネトピルさん、出演はマテウス・フランサさん(ザラストロ)、パヴォル・ブレスリックさん(タミーノ)、安井陽子さん(夜の女王)ほか。

24/12/9(月)

アプリで読む